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2025.04.30

ゴールデン学生サポーター座談会2

ゴールデン学生サポーター制度とは、未来のアートシーンを担う美大・芸大生に募集し、選出された学生にゴールデン製品を協賛する奨学制度。

今回は、第1期ゴールデン学生サポーターの大森恒太さん、第2期女子美術大学の浜田優花さん、第3期武蔵野美術大学の井上息吹さん、ポポーススィさんの4名にお集まりいただき、座談会とゴールデン製品研究会を開催しました。皆さん和やかな雰囲気でいろいろなお話をしていただきましたが、一部インタビュー形式でお話を伺った内容をご紹介します。

(表紙画像は、左から大森恒太さん、浜田優花さん、井上息吹さん、ポポーススィさん)

 

■皆さんは大学生活の中でアートについて学んでいますが、アートと自らのかかわり方についてお教えください。

ポポーさん:私は、アートとのかかわりって生活習慣というか、日常の生業みたいなところはあるかと思っていて。そんなに「絵を描くぞ!」とか「絵を見に行くぞ!」とか力を入れてやるよりは、ちょっと気になった時にふらっと見に行くか~、ちょっと描くか~、みたいなほんの些細な活動が積み重なっていくのが一番しっくり来るかなと思っています。

日常生活の一部。食べる、寝る、呼吸する、みたいな……そのぐらい馴染みあるものになればいいなあと私は思います。

 

井上さん:かかわり方って、距離とかの話かな?と思ったのですけど……。僕は未だに“アート”というものが分かっていないかもしれなくて。小さいころからずっと絵を描いてきて、その延長線上でやってきている。なので、突然芸術として考えながら描いているわけではないんです。だから、具体的にアートって言われると身構えちゃう感じがあります。

大学の講評でも、「どれが芸術なのか」という話があったりするんですけど、難しいなと思っていて。

僕はずっとお絵描きがしたくて、お絵描きのつもりで続けようかなって意識的に思っています。芸術として変に身構えずに描いたほうが、良いものを描ける気がするので。

 

大森さん:アートとは何かと考えた時に、アートは美術史に裏打ちされていると。歴史を踏まえて、「じゃあ今、自分がやっていることはどこの時代を引用しているのか」とか「自分がどのレール上にいるのか」ということを講評で教授と話していると、考えたりします。

絵画は歴史を辿ると、それこそ数千前年と人類がやってきている。そういう歴史のレールに、わりと面白おかしくタダ乗りできちゃう分野でもあるのかなって気がしています。これだけみんなが真剣に丁寧に、絵というものを続けているんだったら、その歴史に自分が乗ってみてもいいんじゃないかと。長い歴史に裏打ちされた文化に、自分が乗るっていう奇妙さが最近いいなと思ってます。こんな奴が乗っていいのかって。(絵が)神聖なもののようにまるで見えるのが、逆に面白いですよね。

 

井上さん:時代が進むにつれて、いろんな人がアートってジャンルに参入できるようなってきましたもんね。

大森さん:そうそう。

 

浜田さん:私もアートって考えたときに、お絵描きの感覚が大事というか。井上さんの感覚に近いのかなって。大学って学ぶ場所だから学問としての美術をやらなきゃって意識がありました。自分の作品の正当性や存在意義を問われていた気がして。その中で自分の制作を見つけたりしてきたんですけど、今はそういう意識が変わったというか。存在意義の為の文脈とかを考えたりもするんですけど、今は単純な自分の為だけのお絵描きに戻りたいと思っています。

ストレス発散じゃないけど……例えば、走れる人は走りたくなったら走る、歌が好きな人だったら歌う、泳げる人は泳いだりするんだろうなっていう、エネルギーの出し方として、絵を描いているんだろうなって。運動が得意な人が自然としたくなるように、私の場合は絵を描くことが、自然にやりたいことなのかなと思います。

 

井上さん:お話を聞いて、ほかの分野の人ってどう思ってるんでしょうね。例えば、泳ぐのも水泳選手とただ楽しんで泳いでいる人だと、やってることは一緒だけど目的が違うというか…。

ポポーさん:勝つ!みたいな?

井上さん:そうそう。もちろん、アートは勝つだけじゃないですけどね。

浜田さん:アートに勝敗はないけど、「人に認められなきゃいけない」というところと「人に認められなくていい」って結構差があるじゃないですか。

そういうのがある中で、みんな自分との生活との折り合いをつけながら、丁度いいところを見つけてやっているんだろうなって。

文脈とかコンセプトが~っていう現代美術としてやっている人もいれば、自分の為の創作としてアートをする人がいるっていうのが、この分野の特徴かなと思っています。

ポポーさん:すごいしっくりきました。共感しました。

評価を追いかけて探求したい人もいれば、ただ自分が好きでやりたいって人もいるし。どっちがどっちじゃないといけないっていうことは絶対にないし、描き手のお好みだよねーってこともありますよね。でも、自分がどっち寄りかな、どの距離感でいたいのかなっていうのは意識しておいた方がいいのかも。好きでやっているのが楽しいのか、周りとの位置関係で自分がやれることを考えたほうがいいのか……って思いました。

 

ありがとうございます。

では次に、皆さんが思う色材と画材がもたらす表現の可能性についてお聞かせください。

皆さんは油画科を専攻されていて普段から油絵を描いている中で、今回ゴールデンサポーターとしてアクリル絵具を使っていろいろな発見があったかと思います。その辺も併せて聞けたらと思います。

 

浜田さん:可能性はいくらでもありますね。やりつくせないなって思うくらい。それが楽しいなって思います。

アクリル絵具ではOPENが好きです。比較的乾燥が遅いので、油絵に近い感覚で使用できる。

私は油絵がすごく好きなので、逆にアクリル絵具を扱ったりすると「油絵っていいな」って思ったりするんです。自分の領域に油絵があって、今まで扱ってきた時間や慣れがあるからっていう単純な理由もあるんですけど。

でも、今回の修了作品で初めて大きな作品でゴールデンのOPENやメディウムを使用してみて、まだまだ可能性はたくさんあるなと感じました。

私の場合、画面上の色の重なりや出てくる表情が、絵画を作るうえでの心地よさや喜びに直結しているので、ゴールデンの製品をもっと扱うことで、見つけていけるんだろうな、という意味での可能性に溢れていると思います。

あと、完成を求めるというより画面の中でずっとこねこねしていることが好きなので、なるべく時間をとってやりたいと思っています。さっきも述べたように、私にとって絵を描くことはストレッチや散歩をするような感覚に近い行為なので、やっていることが大事というか。だからゆっくり描きたいし、そのために表現の幅をもっと見つけたいと思っています。

 

ポポーさん:可能性はすごくあります。まずどこから攻めようかなって。ゴールデンの絵具は選択肢が多くて選びきれないので、まずはベーシックにヘビーボディとOPENを使用しています。油絵との違いを模索したいなと思っていて。

その中で、やっぱり、手を動かしやすいのはアクリル絵具です。考えるよりも先に手が動かせるというか。

油絵って乾くのを待っている時間が発生するじゃないですか。その間に、いろいろと考えこんじゃったり、迷ったりすることがあるんですけど……アクリル絵具は乾燥が早いので、考える隙を与えない。どんどん描くしかないって状況に追い込めるのが面白いと思います。描いてって……うまくできる・できないを別として、描く行為をやっていくことに価値があるのかなって。そんな使い方をしています。

あとは…画材が変わると強制的に普段描いているものが変わってくるというか。画材の恩恵って言うのかな。

画材を変えると、強制的にいつものスタイルから移り変わるのが重要っていうか……。使ってる筆とかも、マティスがすごく長い竹みたいな筆を使って遠距離で描いていたのを真似して、突っ張り棒に木炭を付けて描いたりしたんですよ。

画材とか道具とか変わるだけで、それじゃないと出せない線や色の使い方になるじゃないですか。自分の絵を動かすためにも、あえて画材を変えるっていうのは、今後の課題かなと思っています。新しい出会いを求めています。

 

 

井上さん:僕の場合、昨年の芸祭で展示した小作品はほとんどアクリルで描いたんです。油絵と違ってアクリルは乾燥が早いから、あらかじめ頭の中で内容を決めてから描かないと、乾いちゃう。

油絵具は手を優先して描いても後で修正できるけど、アクリルは決めて描かないと油絵みたいな手直しができない。その分集中して描けば早く終わるなと思います。

あとは、液状の絵具(フルイド)を使用してみて、液状なのに濃度が濃いので水を加えたり濃度調整をしたりする手間が必要なかった。粘度の調節もしやすくって。そういう意味でも時短で制作できました。卒業制作にも使用していて、すごくやり易かったです。

 

大森さん:ゴールデンのいいところって、乾くのが早いっていうところと、絵具の種類やメディウムもたくさんあって、いろんな手法を試せるというところだと思います。トライ&エラーが何回でも出来るというか。

1つの作業にそれほどの乾燥時間が必要ないので、「これはちょっと違うな」という時に「やっぱりこういうのに変えてみよう」という画面上のやり取りが、油と違ってやりやすいと言うか。

色もキレイで、絵具の質もよいから、油ではなかなか試しにくいなって方法を試しやすかったことが一番ですかね。

 

浜田さん:イメージを具体的に形にするというか、出力するって言うのはアクリルって材料は合ってますよね。

大森さん:こういう……イメージを留めておく!っていうか。それこそ油絵は準備も片付けも大変だけど、パッと出してこんな感じ!って言うのがすぐにできるのが、アクリルは優れているなって。

井上さん:油絵具は準備が大変なのがネックですよね。ちょっとした障害って感じで。

ポポーさん:重い腰を上げて「はぁ、やるか~!」って感じですよね油って。アクリルは準備って障害もなくせるし、結果もすぐに形に出せて何回も直せる。やりたいことがすぐできる、っていうのはすごく良いですよね。

浜田さん:油ってお家で描けないじゃないですか。においとかで。卒業してアトリエもないし……。使った感じが油に似てると思うので、油をやりたかったり、油をやりたいけどハードルに感じてる人にはOPENはおススメかも。

 

 

G:大学生活で学んだこと、学べていること、得られたものについて教えてください。

 

ポポーさん:人が集まることや、施設があることが大きいなと思っています。

私は普通科の高校だったので、大学に入ってから水を得た魚のようにやりたい放題やっています。興味のある分野を開拓・研究することも、好きなだけ絵を描けるのもそうですし、モノづくりをする人が周りにいる環境が異常だなって。笑

美大ってモノづくりをしていたり、美術に関心がある人が集まるから、話す内容がバイト先とかとは全然違うなって。これが一番大きいかな。

あと、大学生活でいろんな人と出会う中で、どうやってそれぞれの人が、美術や芸術を社会との繋がりに活かしているのか、生活をどうやっているのかっていう選択肢を学べるっていうのが良かったです。地元にいる時、周りに美術と関わって生活をしている人になかなか会えなかったけれど、大学に入って、教授や助手さんや、周りの人と出会って、こうやって生きていけるんだっていうのが知れたのも大きいですね。

 

大森さん:絵を描いている人と喋れるのが一番いいですよね。

井上さん:本当にそうだなって思います。

 

浜田さん:絵を描いていてもいいんだ、絵を描かせてもらえる環境が嬉しいって思います。

私も進学校で、九州の高校だったから周りに美大もないし、美術系に行く人も全然いなくって。周りが受験勉強をしている中で、孤独……じゃないけど、遊んでいるみたいに思われていたのかな。でもこっちに来て、美大生がたくさんいて、その中のただの一人なんだって思えて楽になりました。

あとは、美大にいる人の幅が広くって、いろんな人がいるなあって思います。

 

井上さん:美大って人と仲良くなりやすいですよね。もともと絵を描いてる人ばっかりだから、何段階か飛ばして話しやすいなあって思います。だから初めてあった人でも仲良くなりやすいかなって。

それに、教授がいることも。自分という人間を知っていて、自分の作品を見た上で作品に活かせるアドバイスをくれたり、考える機会を与えてくれたりする。生徒がいて、教授がいる、いい場所だなと思います。

あと、美大って描き方を教えてくれる場所ではないじゃないですか。

でも、卒制で振り返ってみると4年間でちゃんと絵が上手くなっているんです。もちろん、ずっと描いているからっていうのも大きいと思うんですけど。

絵を描いて、講評で出して、反応をもらうことで作品がブラッシュアップされていくから、ちゃんと大学って絵が上手くなる場所なんだなあって。周りを見ると、友達も上手になっていくから、自分もうまくなっている……教えてもらったわけじゃないのに。不思議ですよね。

 

浜田さん:そういう点だと、続けることが大事。絵を描くことが続けられる環境っていうのが大きいのかも。その中で、自分と向き合う時間が作れるのがいいのかなって思います。上手くなるっていうのは、自分の絵を自分で見て、自分で描くしかないから、そういうことができる時間が大学なのかなって。

 

大森さん:先ほどあった先生の話もそうですよね。

見てもらえるってことが結構貴重だなと思います。教授だけじゃなくて、同級生とかにも自分の作品を見てもらえて、その上でいろんな話をしてもらえるって環境が美大ならではと言うか。美大でしかあまり経験できないことなんじゃないかと思います。

展示をして得られるフィードバックとは性質の違う、同世代の意見は貴重ですし。

絵についての意見交換ができる場ってのは貴重でしたね。

 

■ありがとうございました。

学校の垣根を超えた交流会は今回で2回目となりましたが、皆さんの「美大あるある」やここだけのオフレコ話など色々なお話を伺うことができました。

その後はハイフローを使用したドロッピングアートや、OPENを使ったジェルプレートプリントに挑戦。とても盛り上がった交流会でした。

ではまた次回。

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