2025.12.11
アーティスト紹介
第3期 ゴールデン学生サポーター 成果報告インタビュー
第三回GOLDEN学生サポーターに選出された4名には、サポーターの任期である一年間を通して、GOLDEN製品をもとに材料研究をしていただきました。新たな色材との出会いが、4名の表現をどのように変えていったのか。レポートを拝読する前に、まずは4名に直接お話を伺いました(インタビュー:2025年11月中旬実施/4名のレポートは後日掲載予定)。
Q. GOLDEN学生サポーターに選出されて1年が経ちますが、サポーターとして絵具を使っていて良い絵具やメディウムは見つかりましたか?
ポポーさん:私にとって革命的だったのは、OPENの存在です。
元々、アクリル絵具はドローイングをする時に使っていました。最初のウォーミングアップやアイデア出しに勢いをつけながら描くのが楽しくて。だけど、本制作は時間をかけて作りたいタイプなので、(アクリル絵具だと)早く乾きすぎてしまうことで焦っちゃうのが悩みだったんです。
でも、OPENはゆっくり乾いてくれるし、他のアクリル絵具とは違う堅牢性があるから、使用することで制作の幅が広がったことがすごく革命的でした。
最近はGOLDENだけで制作することも増えてきているし、油絵とはまた違うスピード感とフレッシュさがある絵がいいなと思い始めて、本当に愛用しています。(笑)

細谷さん:自分はヘビーボディの透明色ですね。インディアンイエローとかアリザリンクリムソン、ウルトラマリン(ブルー)とか。
油絵でも透明色を使うんですけど、油絵具は色彩に深みや湿度がある反面、アクリル絵具だとそれが出づらくて、第一印象として軽く見えてしまうというか……。ポポーさんと同じようにドローイング的に使ってしまう部分がありました。けど、ヘビーボディの透明色は深みを出せるので、制作をするうえで油絵的な考え方ができるのはすごくありがたかったです。
それとアクリル絵具ってやっぱり乾くのが早いじゃないですか。それが実は結構好きなんですよ。僕はあんまり待つのが好きではないので(笑)。早く乾いてレイヤーがすぐに重なっていくのに油絵的な仕事ができるのが本当にありがたいなと思いました。
あと、ツヤ出しメディウムやニスとは全然違うツヤの出方も油絵具の湿度感と重なるところがあって使いやすかったです。アクリル絵具特有の「軽さ」への固定観念がなくなった気がします。

井上さん:僕はハイフローが使いやすいなと思いました。盛り上げたいところなどはやっぱりヘビーボディの方が向いているけど、ハイフローは水を混ぜなくてもすぐに使えるのがいいなーって。そのまま使って丁度いい濃度にしてあるからすごく描きやすいなって印象がありました。
ポポーさん:水で薄くすると絵具も薄くなっちゃうのが普通のアクリルではありましたよね(笑)。
井上さん:そうですよね。あと、油絵具と違って水って絶対蒸発しちゃうじゃないですか。そうすると、水が抜けたときに乾いた表現になっちゃうなって。もちろん、表現によってはそれでいい場合もあるんですが、アクリル絵具でそうじゃないことをしようとすると、メディウムなどを混ぜる必要があったりして……。
ハイフローだと、元から液状になっているからいい感じに乾いてくれて、絵具のたまり具合とかがきれいに見えているなって印象がありました。

田村さん:私はやっぱりフルイドが使いやすかったです。
最初の段階で、私がやっているステイニング向きの色材と聞いていたので、すごく楽しみに使い始めたんですけど、粘度が丁度いいんですよ。絶妙なエマルジョン加減で、水で溶いても全然発色が落ちないし、本当にあれなしだと考えられないくらいです。
あと、ふたがワンタッチで開く点もとても使いやすくて、気軽に色をパレットに出して混ぜるようになりました。
実際、使い始める前と後だと、自分の作品の色味が全く違っていて、周りからも「色明るくなったよね」って言ってもらえることも増えてすごく嬉しかったですし、本当に革命的でしたね。

Q. 今回新しい色材やメディウムに挑戦していただいて、自分の中で変わったと思うことや作品に影響したことがあれば教えてください。
ポポーさん:私の場合、予備校生時代からドローイングが結構いいねっていろんな人に言ってもらえる反面、油絵になるとなんだかねって言われていたんですよ(笑)。多分それは新鮮さとか身体性とかっていう「勢い」と「スピード感」が私のいいところとして見られていたからだと思うんです。でも油絵になると、乾くのが遅かったり、(私の中で)色をたくさん重ねて重厚感を持った作品にすること=いい絵みたいになってしまっていて……。
GOLDEN製品を使い始めてから、油絵具っていう画材だけだと表現できなかった「新鮮さ」とか「スピード感」を残したまま、チープにならずに作品としての重厚感を出せるところまで持っていけて、(油絵具とアクリル絵具の)良いとこ取りをできたのが本当に大きかったと思います。友達とかに見せても「アクリルって気づかなかった」「かっこいいね」って言ってもらえるし、悩んでいたところが解決したのが私の中ではすごく大きな変化でした。
ホルベイン:皆さんからみて、普段油絵具を使われている方がアクリル絵具を使うと、アクリル絵具だと分かってしまうものなのですか?
一同:結構わかりますね。
井上さん:水が混ざっていて、その水が乾いた時の感じとかって、油絵の油が引いた時の感じと全然違う気がします。もちろん、それが効果的に働いている絵もあると思うのですが、あんまり狙ってないときにそれが出ちゃうことが(自分の作品では)あったので、今までは油絵の方がいいなって思っていました。でも、GOLDENは絵具の質が違うからか、それが起こりづらい印象がありました。

田村さん:分かる。光の反射具合がやっぱ全然違う、油とアクリルだと。
井上さん:そうですよね。(GOLDENは)油絵具に近いから、油絵具を使っている人からするとそういう点は結構うれしいポイントですよね。アクリル絵具ってわかっちゃう時って、アクリル絵具の良くない部分が出ているからであって、その感じがないのは重要なポイントだなって思いました。
ポポーさん:絵具が痩せずに、発色が良いままだし、伸ばしても薄っぺらくならないのがほんとにびっくりですよね。
井上さん:あと、アクリル絵具ってパレットの上で乾いた時にパリっとなる(割れる)印象が強かったんですけど、GOLDENの絵具ってモッタリ乗っている状態でも割れずに、柔軟性が残ったまま剥がれるから、キャンバスに描くのにも向いているんだろうなと思います。
というのも、僕も高校生の時はアクリル絵具でも絵を描いていたのですが、割れることが怖くて基本的にパネルに描くようにしていたんです。キャンバスって布だから支持体そのものに柔軟性があるし、アクリル絵具には向いてないんじゃないかなって思っていた部分もあって……。でも、GOLDENの絵具は柔軟性を持ったまま乾いてくれるから組成的にも強い作りになっているんだろうなって……パレットに残った絵具を見た時に思いました。

一同:わかる、パレットの上での乾き方が違う。全然割れないよね。
田村さん:私は、さっきフルイドをメインで使っているって話をしたんですけど、ヘビーボディもちょこちょこ使っています。いつもは、絵具を水でかなり薄めて使っちゃうので、自分から一番遠い種類かなって思っていたんですけど、硬い筆にちょっと取ると、硬いけど柔らかい線が引けたり、透明色とかだと本当に油絵のグレージングみたいなことがGOLDENの絵具でもできたりします。
私、油絵を描かなくなって4、5年くらい経っているかもしれないんですけど、懐かしさもありつつ、新鮮さもあって、絵具が変わるとちゃんと絵も変わるなって実感もあって、ちょっとした新鮮さを楽しみに制作しています(笑)。
あと、ヘビーボディって固練りだから筆で引いた時に筆跡が残るんですけど、それがアクリルなんだけどいやらしくなくて、綺麗に残ってくれるんですよね。
細谷さん:僕はやっぱり乾燥速度が油絵具に比べて断然早いっていうのが大きかったです。
今まで油絵では、パレット内で混色をして、本来であればレイヤーで重ねた方がいいところをショートカットして一発でやっちゃうみたいな感じのことをやっていたんですよ。
でも、アクリル絵具だと乾くのが早いからグレーズが簡単にできる上に、(GOLDENの絵具は)色も油絵的だから試行錯誤の回数が必然的に増えて、構造的に描けるようになってきた気がしていて。それがGOLDENを使ってから一番変化があったところかなって思います。
この絵具の上にこの絵具は重ねないなっていう選択をしたり、実験的にやったりすることが増えてきました。
それを油絵具でやろうとすると、どうしても最低でも一日は待たなくちゃいけない。その作業が、結構僕自身不安になってしまうんですけど、アクリル絵具だと簡単にできるので幅を広げるという点で助かったなっていう印象があります。

ホルベイン:ということは、GOLDENの絵具を使ったことで油絵を描く時もその経験が活かされたということですか?
細谷さん:そうですね、結構ダイレクトに活かされていると思います。
GOLDENの絵具と油絵の絵具は似たような色もたくさんあるし、結構共通している部分があるので、油絵に置き換えた時に、この絵具の上にはこの絵具を置こうっていうのがすぐ分かって、安心して待てる時間が増えました。
Q. 現時点で皆さんが考えている今後の活動方針や大学卒業後の進路などを教えてください。
ポポーさん:私は、院進(大学院進学)を考えていたんですけど、やめました!(笑)やめた理由としては、改めて自分ができることを棚卸したときに、私はもっと作家活動もやりたいし、パフォーマンスとかエンターテイメントの方面もやってきたので、それらを掛け合わせたことをやっていきたいです。どういう世界が待っているかは全く見えないんですけど、一回自分の力でどれだけやれるかを試したいので、そっちに全振りしようかなと思っています。それで一通りやり切ってみて、その後のことはその時また考えようと思っているので一旦は修行の身になります(笑)。
細谷さん:僕は11月くらいからアトリエを借りるので、来年からバイトしながらそこで制作するっていう生活になると思います。あとは、来年の10月ごろに佐賀県でグループ展があるので、それに向けて色々制作しようかなって考えています。
田村さん:私は、一足早く大学院を修了したので今はフリーなのですが、最近は、「働く」ことと「生活」と「制作する」ことの自分の中でのバランスが見つけられたような気がしています。と言うのも、今思うと大学時代は、時間がありすぎて持て余していたというか、制作できる時間が多すぎて、それが逆にたくさん作らなきゃ、という焦りからルーティンワークみたいになっちゃうことがあったんです。
でも、最近は制作にとれる時間が少なくなってきて、アトリエも借りず自宅でやっているので、色々なことが縮小されているんですけど、その分密度が上がっている感じがしていますね。やるぞってときにちゃんと制作をするっていう自分のペースが身についてきて、この「密度感」と「ペース」を維持したいなって思っています。あとは、ちゃんとコンスタントに作品を発表する機会を作っていきたいです。
井上さん:自分は来年、大学院の2年生になるので、再来年の修了展を頑張りたいなと思います。
あとは、来年の2月の「ARTISTS❜ FAIR KYOTO」という展覧会に向けた150号の作品を制作中です。それが現段階での自分の中の大きなイベントなので、まずはそこに向かってより良いものを作りたいです。大学院修了後のプランはまだ決まっていないんですけど、絵を描き続けられるように頑張りたいと思っています。

☆4名それぞれの成果レポートは後日掲載予定ですので、お楽しみに!









