2026.01.30
第4回ゴールデン学生サポーターインタビュー
ゴールデン学生サポーター制度とは、未来のアートシーンを担う美大・芸大生に募集し、選出された学生にGOLDEN製品を協賛する奨学制度。第4回目は、京都芸術大学の森本玄先生、東京藝術大学の秋本貴透先生、 斎藤芽生先生にご協力いただき、それぞれお二人ずつサポーターを選出いただきました。
今回は、東京藝術大学の 坂本那々莉さん 杉本ひなたさん をご紹介いたします。
Q今回、サポーターに応募していただいた理由や今後の意気込みをお聞かせください。
坂本さん:普段の制作では、砂利や小石などでザラザラの地を作ってその上にアクリルで描写して最後に油絵具でグレーズするというような形式をとっているので、制作自体は9割アクリルを使っています。けど、アクリル絵具をたくさん使っている割にはメーカーごとの絵具や下地材の違いがあまりわからなくて…。やっぱり、一つひとつ買って試すわけにはいかないですし、画材店ではサンプルを手で触ったり、ラベルの色を見たり、使っている場面を想像することしかできないので、なんとなく目に留まったものを買っていました。けど、アトリエに持ち帰って使ってみると想像と違うということが結構あって、その中で自分にあったものを探していくのは難しいなと思っていました。なので、このように色々な絵具や下地材を一度に試せて自分が気に入るものを自分の手で見つけられるというのはすごい魅力的だなと思いました。

坂本さん:作品のコンセプトとしては、映画や妄想している映像のイメージなどの実体のないものを物質感の強いキャンバスに「もの化」するということを掲げています。粒子感が強い方が良くて、砂などの粒子感のあるものを下地に使っているのも、デジタルではなく、フィルム特有のザラザラした粗い感じの動画性を表現するために使っています。最後にグレーズする理由としては、画面上の粒子感をより強くするためです。やっぱり、最初に粒子感の強い下地を作っていても、アクリルで描いていくとすぐ乾燥して目が埋まってしまって、せっかく作った粒子感を上から抑え込むような絵肌になってしまいます。でも、最後に凹凸のうえからシャバシャバの油をかけることで、それが凹凸のへこんでいるところに溜まって、より粒子感が強くなるんです。あとは、アクリルが濡れ色になるのが最大のメリットとしてあって、乾くと少し明るくなるというか、白っぽく発色する色が目立ったりするので、絵の中でかなり暗い画面、奥に空間がいってほしいところには濃い目に油を重ねたりして制作しています。
杉本さん:私は、普段、素材を限定しないで制作しているので、絵画もやれば、立体もやるし、抽象的なものもあれば具象のものもあり、表現の幅自体は手広く展開しています。こういう表現がしたいという構想が出来た段階で、それに合っている材料をどう選ぶかというのはやはり自分が使ってきた経験や知っている知識にどうしても偏ってしまうので、今回このような機会をいただいたことで、自分が知っている材料を増やすきっかけになったらいいなと思って応募させていただきました。
画材以外のものも材料として使うことが多いのが私の特徴としてあるので、今回どのような制作になるかは未定ですが、もしかしたら普段生活の中にあるものとGOLDEN製品を合わせたりする可能性も十分あるなと思います。普段混ざり合わないもの同士を混ぜることで生まれる意外性や面白さを自分自身も楽しみに作っていきたいと考えています。

Q今回、実際に絵具を使ってみて、お気に入りの絵具やメディウムは見つかりましたか?
坂本さん:私は、モデペ(モデリングペースト)・ジェッソ+砂、モデペ・ジェッソ+軽石など粒の大きさを変えて下地を作っていて、支持体の大きさや見せたい表情によって混ぜるものの大きさや濃度を変えているので、それをもう少し調節しやすい下地材を探しています。その中で、最近は、粒そのものが持っている美しさを活かして下地が作れたらいいなと考えているんですけど、やっぱり、モデペやジェッソだと白色が入っているので、今日試したジェルメ(ジェルメディウム)系でなにか混ぜやすいものがあるかもと思いました。絵具も場所によって濃度を水で薄めて変えているので最初から柔らかめに溶いてあるフルイドであったり、少し透明度が上がっているような感触があったハイフローも気になりました。あとは、マイカ系の絵具(ゴールデンマイカフレーク製品)を下地に敷いてみたりしたら、粒そのものが反射して面白い画面になるのかなとは思いました。
杉本さん:私は、具体的に平面にするか立体にするかも決まってないんですけど、こういうテクスチャーおもしろいなというところから制作をはじめることも多いので、何に使うかというよりかは塗り心地の良さや感覚、使用感の面白さを重視しています。今日使ったものの中だと、エキストラヘビージェルマットは一番記憶に残っていて、面白かったです。というのも私の制作は、食品だったり、自分の身近な生活の中にあるものを引っ張ってくることが多いのですが、このメディウムは、マーガリンみたいな食品のテクスチャーに近い塗り心地があって、それがすごく使っていて楽しかったなって、新しい感触がありました。似たような観点でいうと、グラニュラーも砂が入っている感覚とはまた違って、ザラメが入っている感覚と似ていて、おいしそうだなと思ったり(笑)。実際に見えている情報以外の視覚、聴覚、触覚…、あらゆる感覚器官が呼び起こされるような作品ができたらいいなと思いながら触っていました。あと、私はたまにフェイクのような要素を使ったりもしています。例えば、中身は本来木なんだけど、塗装してアルミっぽくしたり、石材っぽくするとか…。そういう作業は結構好きなので、変化が多くて、面白い要素を持っている塗料を見ると、何に化けるかなというのを想像しながら塗っていました。
第4回GOLDEN学生サポーターのお二人には、1年間を通してGOLDEN製品を使用した表現の可能性を追求していただきます。1年後の成果報告レポートを楽しみにしております。
またその間、これまでのGOLDEN学生サポーターの皆さんとの座談会なども企画しており、そのレポートも公式ブログで掲載させていただく予定です。
〈サポーター紹介〉

坂本 那々莉 Nanari Sakamoto
Instagram:https://www.instagram.com/hey_nanary/reels/
‐経歴‐
2001 茨城県生まれ
2020 東京藝術大学絵画科油画専攻 入学
2025 東京藝術大学絵画科油絵専攻 卒業
現在 東京藝術大学大学院美術研究科油画技法・材料第一研究室 在学中
‐展示歴‐
2022 グループ展 「CROSSROADS」 WHAT CAFE
グループ展 「point de départ」 bohemian’s guild
2023 グループ展 「Beehive」 元映画館
2025 東京藝術大学卒業制作作品展 東京都美術館
グループ展 「DIALOGUE 」 アートかビーフンか白酎
グループ展 「Behind the screen:meeting the gaze」 The Coffee Brew Club Gallery Room
個展 「“私の尊厳は翡翠色”」 myheirloom
グループ展 「White out」 VACANT ROOM
‐Statement‐
私は自らが監督・俳優・演出家となり、架空の映画のワンシーンを描く。
絵画の中では現実の私とは異なる“私”が存在し、白昼夢のような物語が展開する。
嫌いなものをはっきりと拒み、好きな服を着て、泣きたい時に自由に泣ける―
そうした想像上の女性像は私が日常を生き抜くために必要な“もう一つの現実”でもある。
女性として社会に感じる違和感や怒りを直接的な主張ではなく、映像的な比喩を通して表現する。支持体には砂や軽石を混ぜ、アクリル絵具と油絵具を重ねて古いフィルムの粒子のような質感を作り出す。
これは虚構としての映画を“物質”として定着させる試みであり、無形のイメージを現実へ引き戻す行為でもある。
私が描く“映画的な絵画”は、フィクションの中でしか見つけられない自由や強さを、現実に持ち帰るための手段である。見る者がその断片的なシーンから、自分自身の記憶や感情を重ね合わせたような、開かれた物語性を目指している。
‐Artwork‐

Scene 24 “前後の吉凶がどうであれ、最後は悔いのない幕引きを”
2273×4860㎜ Oil on canvas 2025

“なんでも揃った場所に住んでるはずなのに、こんなに寂しい。”
652×1000mm Oil on canvas 2025

“2025年6月10日”
500×727mm Oil on canvas 2025

“この高揚感、身体からすらすると流れていってしまう感情達を繋ぎ止めておきたいの”
500×727mm Oil on canvas 2025

“This is how I’ve lived, and this is how I will live.”
652×1000mm Oil on canvas 2025

“親愛なる日記さんへ”
455×273mm Oil and acrylic on canvas 2025

“ちがう、これは優しさじゃ無くて知性”
606×910mm Oil on canvas 2025

杉本 ひなた Hinata Sugimoto
Instagram:https://www.instagram.com/hinatasugimoto_32/
‐経歴‐
2000 愛知県生まれ
2021 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 入学
2025 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
現在 東京藝術大学大学院美術研究科壁画第二研究室 在学中
‐展示歴‐
2021 「LIQUITEX THE CHALLENGE 2021」 坂口寛敏賞 受賞
2022 「ムーンライト/サンライト」DESIGN FESTA GALLERY
2023 「藝大アートプラザ大賞展 – Geidai Artplaza Festival 2023 」準大賞
二人展「PAINTING CYCLE 」haco -art brewing gallery-
2024 「INTRO 1」ヒルサイドテラス
「grid next」biscuit gallery
2025 「第73回 東京藝術大学 卒業・修了作品展」東京都美術館
個展 「How to float 3 centimetres」GALLERY b. TOKYO
月出アートキャンプ「素時 SOJIーそことこことー」月出工舎
‐Statement‐
私は、身近なモチーフを観察し、実験する中で生まれる小さな発見から制作を始めています。一つの形式にとどまらず、絵画や立体など、素材の在り方を行き来しながら展開します。
近作では、二重構造の絵画作品や、固形化した廃油を並列させたオブジェなど、技法的な冒険を試みています。
日常の中にふと立ち現れる制御しきれない部分、そのわずかな変化は、あらゆる感覚を呼び起こす体験であり、世界の複雑さを探求する手がかりとなっています。例えば、油滴の膨らみや染み、生地が発酵し形を持つ過程には、制御と生成が同時に存在しており、私はそのような現象が起こる条件を整え、偶発性に立ち会うように制作しています。
私の実験や発見は、鑑賞者に対して不用意に固有の意味をばら撒くことなく、様々な予感を引き起こさせる装置として在りたいのです。
‐Artwork‐


「Sunrise」
1620×1620×147㎜(×2) 檜材、油絵具、合成樹脂塗料、水性接着剤、ニス、植物オイル塗料、綿布、ビス
2024

「0 COMPOSE BLUE 1 BLUE GREY 2 WATER BLUE 3 TITANIUM WHITE 4 YELLOW GREY No.2 5 MONO. TINT COOL No.1 6 PERMANENT GREEN DEEP 7 PERMANENT GREEN LIGHT 8 TERRE ROSE 9 IVORY BLACK 10 CADMIUM GREEN 11 COMPOSE BLUE 12 RAW SIENNA 13 TERRE VERTE 14 MALACHITE GREEN(HUE)」
1620×1303mm キャンバス、油絵具、化学繊維布 2023

「BUTTON PLANET」
910×727㎜ 木製パネル、綿布、ジェッソ、顔料、胡粉、コンテ 2024

「SLIME」
PVA、ホウ酸、重曹、水、アクリル絵具 2022

「MINUTES」
固形廃食油 2024
★京都芸術大学から選出されたお二方のインタビュー記事はこちらから
https://www.goldenpaints.jp/blog/goldensupporter_kyotogeidai/









