2026.03.24
アーティスト紹介
展示作品レポート in ART FAIR TOKYO 2026
小松孝英先生
展示作品レポート
in ART FAIR TOKYO 2026
東京国際フォーラムで 3月13日(金)から 3月15日(日)の 日程で開催された 「ART FAIR TOKYO 2026」。
多種多様な表現が交錯する日本最大級のアートの見本市で、我々は昨年に引き続き、ゴールデンアーティストインタビューにもご登場いただいた美術家・小松孝英先生が出品する「みぞえ画廊」のブースに伺った。
小松孝英先生といえば、琳派の作品を現代に再構築したような作風で知られている。琳派を彷彿とさせる金箔地の上には鮮やかな蝶の群れをはじめとした無数の生き物の姿が映し出されている。ただし、そこに浮かび上がるマチエールは、日本画の画材で表現されたものではなく、アクリル絵具、とりわけゴールデンアクリリックスの絵具やメディウムを駆使して表現されたものである。今回は、「ART FAIR TOKYO 2026」で展示された作品の一部をご紹介する。
まずは、紋白蝶と雀が戯れているように見えるこちらの作品。
小松先生が描く生き物の多くは、ゴールデンのアクリル絵具で描かれている。絵具の粘度や流動性を安定して調整できるゴールデンの特性により、筆致のブレやにじみを抑えつつ、細い線やエッジを崩さずに描き進めることができ、形を明確に定着させることが可能になる。そのため、羽の角度や重なり、進行方向といったわずかな差異が視覚的に読み取れる形で描き分けられ、蝶と雀が空間の中で関係しながら動いているような印象を生み出している。

深く重厚感のある銀箔地と鮮やかな蝶のコントラストが印象的なこちらの作品。
背景には、緻密な蝶の描写とは対照的に直線と曲線で簡略化された流動的な線描が描かれている。水の波紋・渦のように見えるこの線描は、琳派作品の特徴の一つでもある“光琳水”に共通している。水流に導かれるように数多の蝶が集まってきているかのように見える。
これらの伸びやかで均質な線もゴールデンで描かれている。一定の粘度を保ちながら滑らかに伸びるため、長く連続する線描を破綻なく成立させる一助となっている。
こちらは、金箔地に無数に舞う色鮮やかな蝶。小松先生の作風が色濃く表れている作品ではないだろうか。
金箔地は、まるで長い年月をかけて酸化したかのような味わいと深みが感じられる。一方で、アクリル絵具という現代のアプローチで描かれた色鮮やかな蝶には古めかしさはなく、現代において観る者を選ばない普遍的な美しさと大衆性を帯びている。このように、小松先生の作品には、一貫して伝統的な美と現代的な感覚が共存しているかのように感じられる。

小松先生は以前のインタビューで、ゴールデンのアクリル絵具の最大の利点として、環境に左右されない“強度の高さ”を評価していただいた。ゴールデンの高濃度で鮮やかな発色と耐久性に優れた特性。それらが、時間の経過を感じさせる金箔地の表情と対照を成すことによって作品全体のコントラストをより際立たせ、小松先生独自のマチエールを形成しているのかもしれない。
続いてはこちらの立体作品。
いまにも飛び出しそうな無数の蝶が木箱からあふれ出ている。小松先生は、緻密に描写された平面作品だけでなく、立体作品も精力的に創作されている。
こちらは、出目金をモチーフにした立体作品。一見すると、斑模様の美しい出目金に見えるが、尾びれに目を向けると、そこに羽を広げた蝶の姿が現れる。本来、地上と水中という交わることのない領域に生きる生物同士がこうして一つの形態の中で融合している点が特徴的なこの作品。その違和感と調和が同時に成立することで鑑賞者に新たな視点と発見を促しているのだろうか。

本展を通して、小松先生が提示する世界観の広がりと、その表現の精度の高さが改めて強く印象に残った。今後、どのようなイメージや構成によって新たな世界を見せてくれるのかという期待とともに、その表現を支えるゴールデンのアクリル絵具がどのように可能性を広げていくのかにも注目していきたい。
小松 孝英(美術家/ドキュメンタリー映画監督)
1979年宮崎県出身のアーティスト。九州デザイナー学院卒。香港やスイス、台湾など世界10カ国で個展開催や国際アートフェアに出品している。企業とのコラボレーション作品や国連施設、海外企業に作品コレクション多数。近年では「塩月桃甫」や「中村地平」などのドキュメンタリー映画の脚本.監督を務め、再評価や文化交流に導いている。飫肥重要伝統的建造物群で行われる「DENKEN WEEK」など地域プロデューサーも務める。延岡市観光大使。
HP:https://takahidekomatsu.com/
Instagram:https://www.instagram.com/takahide_komatsu/
★小松先生の過去のインタビュー記事は、下記のリンクから拝読できるので、ぜひ覗いてみてください。
golden アーティストインタビュー vol.7 小松 孝英
https://www.goldenpaints.jp/blog/vol7takahidekomatsu/









