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2023.09.04

第1回 ゴールデン学生サポーター 成果報告 インタビュー

第一回ゴールデン学生サポーターに選出されたお二人には、サポーターの任期である一年間を通して、ゴールデン製品をもとに材料研究をしていただきました。その研究の成果報告のレポートをご紹介いたします。新たな色材との出会いが、お二人の表現をどのように変えていったのか。レポートを拝読する前に、まずはお二人に直接お話を伺いました。

Q.ゴールデンサポーターに選出されて、任期の一年が経過しましたが、何か良い絵具やメディウムは見つかりましたか?

松野さん:やっぱり『パンパステル』。最終的には一番たくさん使った画材になりましたね。通常のチョーク型のパステルとは異なり、ファンデーションの様に擦り付けるというのが画期的ですし、さっと広い面積を塗る事ができるのがいいですね。それまでパステルをぼかす時はガーゼとか刷毛を使っていたのですが、パンパステルのスポンジの『soft(ソフト)』でぼかすと顔料の食いつきが良く、また、布に描く際の毛羽立ちが抑えられていて、作品の質が向上したことにも気づきました。

大森さん:使っていて一番使いやすかったのは『OPEN(オープンアクリリックス)』。遅乾性アクリル絵具であるオープンだと、乾燥が遅いので、絵の上で混ぜられるのが良いのですが、ヘビィボディだと乾燥を遅らせるために『リターダー』を混ぜるじゃないですか。そうすると絵具の粘度が低くなっていく方向にどんどんなるのです。僕はどちらかというと粘度が高い絵具を使いたい派なので、そうした理由でオープンが特に使いやすい絵具でした。

松野さん:私はあと、ゴールデンのメディウムも並行して使っています。今までは、地塗りに使うペーストやメディウムなどにこだわりがなかったのですが、ゴールデンにはたくさんのメディウムがあるので、パステルの下地研究も兼ねて色々使わせてもらいました。『ファイバーペースト』とか、『ファインパミスジェル』とかに可能性を感じていて、特にファイバーペーストの壁紙の様なザラザラ感や風合いが好きで、このファイバーペーストを下地にしてアクリル絵も描いたりしています。

絵具については、アクリル絵具はそれまであまり使った経験がなかったので、お水で溶いた粘度に予め調合されているフルイドが使いやすいと思い、最初のころは『フルイド』を使っていました。任期中に『OPEN(オープンアクリリックス)』が日本でも発売されるということで使ってみたのですが、透明色が特にきれいな感じがして、ちょうどヘビィボディとフルイドの中間くらいの柔らかさがありますよね。その柔らかさが使いやすいと感じて、任期の最後の方はオープンを使う機会が多かったですね。

松野さん:大森君、ヘビィボディはどうでしたか?

大森さん:ヘビィボディも結構使いやすくて。僕は油絵から入ったので、最初は油絵と似たような使い方も試してみて、それで、全然使えたのですよ。で、使えつつも、こうしたいな、こうしたいなと、絵具をいじってみて思うようになっていって、色々試行錯誤して、自分の中でもある程度納得のいく形になってきたなあという頃に、日本でもオープンの発売が決まって笑。オープンも試してみたら、やっぱりオープンがいいな、ということになって笑。

松野さん:大森君は先生にアクリル絵具で描いていることを言わないでいたのだよね?

大森さん:油絵具とアクリル絵具を同時に使っている時期があって、油絵の横にある絵がゴールデンのアクリル絵具で描いた絵だったなんてこともありました。油絵と並べても耐えられる画面を作れる、それほどに仕上がります。

Q.新しい色材やメディウムに挑戦いただきましたが、何か得られたことや、作品に影響したことはありましたか?

松野さん:私は普段パステルで制作していますが、パステルにはパステルで描ける独特のものがあって、私に力がなくてもパステルが導いてくれる様な感覚が個人的にはあります。ですがゴールデンのサポーターになって、あえて普段使わないアクリル絵具でも描いてみると、自分でも予想外の表現が出てきたりして、知らなかった自分の表現を引き出してくれたというか、そういう時間って大切だったなと思いました。パステルだけで絵を描いているままだったら、今のように色々な表現方法を探ることは出来なかったなと思います。一旦そこから離れて、いろいろな画材を触ったり、特徴を活かすことを探ったりする経験が、結果的に自分の制作に活かされている実感があります。

あと、私は単純にゴールデンの豊富なラインナップが面白いなあと思っていたので、カタログを何十回も見てはワクワクしていましたね。それらを使ってとりあえず塗ってみたり、実験する時間がとにかく楽しくて面白かったです。

大森さん:僕は、一番得られたなあと思うことは、フットワークが軽くなったということが大きいですね。油絵具って、いつでも制作したい気持ちはあるのですけれど、家とか場所も結構影響してきますし、臭いやゴミも処分しづらいところもある中で、ゴールデンのアクリル絵具は、油絵にかなり近い表現ができるのに、簡単に始められるので、始めるまでのハードルがすごく低いので、考えたことをとりあえず形にしたいときにとても役に立っています。もちろんそのまま最後まで作品に仕上げることもできるところが強みだなと思います。

Q.これからお二人はどのような活動をされるご予定ですか?

現在4年生のお二人とも大学院に進学をご希望と聞きましたが。

松野さん:そうですね、大学院に進学できたとして、やっぱりその先の生活をどうしても考えますよね。バイトをしながら制作をしていくか、一旦就職してから作家に戻ってくるかは、まだちょっと悩んでいるところではあります。社会人経験もしてみたいし。どちらを選んでも制作を続けていくって大変な事なんだと周りの話を聞いていても感じるところです。だけどやっぱり大学院を卒業したら、何か仕事をしながら友達とアトリエを借りたりして、どうにか制作を続けていく様な気がします。いつかこれでご飯を食べていきたいですね。

大森さん:大学院に行って、勉強する時間をいただいたとしても、そのあと社会人として就職するのか、絵で食べていくのか、確かに考えますし、まあでも、どういう状況になるかは別として、やっぱり絵を描く、そして発表したいということ自体は変わらないと僕は思っています。

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