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2023.11.10

アーティスト紹介

第2回 ゴールデン学生サポーター インタビュー

ゴールデン学生サポーター制度とは、未来のアートシーンを担う美大・芸大生に募集し、選出された学生にGOLDEN製品を協賛する奨学制度。

第二回目は、女子美術大学の大森 悟先生、林 航先生にご協力をいただき、学内募集の結果、安藤瑚夏さんと、浜田優花さんのお二人をサポーターに選出いただきました。

今回は、選出されたお二人のご紹介として、それぞれの作品や、サポーターに応募いただいた理由などのお話を伺っていきたいと思います。

 

G:まずは、「ゴールデン学生サポーター制度」にご応募いただいた理由を伺えますか。

浜田さん:学部時代から現在まで油彩を中心に制作してきましたが、制作にあたって不自由さを感じることがあり、画材研究の必要性を感じました。現在抱えている問題は、黄変の可能性、絵具がすぐに乾いてしまうこと(特に夏期)。メディウムとして使えるものや盛上げ材の種類の少なさです。その中でホルベインの方が学校にいらっしゃる機会があり、GOLDENのアクリル絵具を知ることになりました。GOLDENのメディウムの講習会に参加した際、担当の方に相談させていただき、遅乾性のアクリル絵具であるOPENが良いのではということになりました。油絵具のようにゆっくり乾くアクリル絵具であるため、画面上で絵具を引きずって描くことができると思います。

アクリル絵具用のメディウムはとても多くの種類があるため、現在よりも表現の幅を広げることができると考えました。また、アクリルのメディウムを使うメリットの中に、黄変を心配しなくて良いということがあります。以前まで石膏を盛上げ材として使用していたのですが、リンシードオイルを混ぜていたためか激しく黄変することがありました。油の種類をポピーやサフラワーに変えていくことと同時に、そもそも油を使用しないという選択肢があることに気づき、アクリルでの制作をしてみたいと思うようになりました。今までアクリル絵具の速乾性により苦手意識を持っていたのですが、今回OPENの存在を知り、自身の制作を進めてくれる可能性を感じています。また、アクリル絵具特有の鮮やかな発色も私がモチーフにしている植物を描くのには適しているのではないかと思い、今回応募させていただきました。

 

安藤さん:最近は装置的な作品を制作するので、画材以外にも様々なマテリアルが気になっているのですが、同時に絵画作品も並行して制作していきたいと思っています。今までの絵画は主に、半立体の作品を制作してきました。なぜ半立体なのかというと、イメージしていたものを半立体にすることで、それが実際にあるものと化し、より鑑賞者に体験させるような作品になると思うからです。そのために下地やマチエールのための画材の研究をしてきました。

また、透明なものも自分にとってはキーだと思っており、透明だと物質があるのにそれ越しに何かが見える現象が起きます。その物質越しに景色や瞬間が見える状況を作っている時間は、自分自身の琴線に触れている気持ちになります。ポーリングメディウムやレジンなどの画材を使うことで、窓やタイル、ステンドガラス、レンズなどに見立てて制作をしました。伝えたい内容に沿って質感を変えることで、今までにないような新しい作品を生み出せた実感がありました。

私にとって画材は表現の可能性を広げてくれるものなので、意欲的に画材の研究を続けているのですが、これには膨大なコストがかかってしまいます。もしゴールデン学生サポーターに選出されれば、惜しみなく画材の追求に没頭できて、作品が充実すると思い応募しました。

 

G:ゴールデンサポーターに選出されたお二人には、弊社で一通りゴールデン製品をお試しいただきました。その中で使ってみたいゴールデンの絵具やメディウムはありましたか?

浜田さん:やはり油絵具のように絵具を引きずるような描き方や、絵具を拭き取るような表現をしたいのでOPENですね。また、独特の柔らかさや、絵具が混ざりあわない性質を利用してポーリングメディウムも作品に取り入れてみたいです。

安藤さん:とにかく色々な素材を試してみたいです(笑)。とくにクリアグラニュラージェルやコースモデリングペースト、ポーリングメディウム、インタフェレンスカラーなどはすぐに使ってみたいですね。

ありがとうございました。お二人には一年間を通してゴールデン製品を使用した表現の可能性を追求していただきます。一年後の成果報告レポートを楽しみにしております。

またその間、第1期のゴールデン学生サポーターのお二人達と座談会なども企画しており、そのレポートも公式ブログで掲載させていただく予定です。

 

 

浜田優花 Hamada Yuka

 

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1999年 大分県出身

2019年 女子美術大学入学

2019年 アートラボはしもと ダイバーシティ・イン・ライフ 多文化交流~制作の現場から~

2019年 上野の森美術館大賞展 賞候補入選

2020年 GALLERY ART POINT Coexist 1 2020

2023年 JOSHIBISION2023 アタシの明日

2023年 東京五美大連合卒業・修了作品展

2023年 女子美術大学卒業展

2023年 同大学卒業・同大学大学院入学

2023年 神奈川県美術展 かながわ賞

 

 

私の制作は、視覚できない不安に対する抵抗として避難所を絵画・インスタレーションによって視覚化することを目的としている。

以前から自然災害、殺人事件、事故、戦争など日常を脅かすものが既に存在し、生きていく上で絶対の安全が保証できない逃げ場のない世界で生きていくことについて考えている。日本は地震大国であり、2011年東日本大震災が起こった。もともと感じていた戦争への恐怖に加え、津波と放射性物質による汚染による大きな被害は私の生死観に大きな影響を与えた。大学進学後、災害や戦争などの破壊・死のイメージと再生・発生のイメージを噴水というモチーフに重ね絵画制作を行っていた。

2020年からは感染症の拡大による社会の大きな変化があった。また、ウクライナで新たに戦争がはじまり、核兵器使用のリスク等人々の不安感も強くなっていった。

こうして社会の状況が変化していく中、自身も含めた人類の孤独感・不安感は強まっていると考え、より精神的な拠り所となる場所の必要性を感じ、仮想の避難所として温室をモチーフとしたシェルターの制作を始めた。

モチーフとなる温室のイメージは私自身の祖父母が花を育てているものである。生命を閉じ込めた場所であり、植物と土の匂いが充満し湿度が保たれている温室は安心感をもたらしてくれると感じた。外の世界を覗くことのできる薄い膜は実際の核シェルターのような機能はない。しかし、暗く冷たいコンクリートの壁の中よりも光が降り注ぎ水と土が存在するその場所は生命力に溢れており私たちの救いの場所「シェルター」として機能するのではないかと考える。

加えてビニールハウスのような脆弱な構造物は弱い体・不自由な体で生きている不安感・行き場のなさに寄り添うモチーフであると考える。全てを流してしまう災害の象徴でもある水という物質は潮の満ち干きや成分などから女性と妊娠・出産・加えて生命に深く関わっていると感じ、温室ともに描き続けている。

 

 

「shelter/greenhouse」  2273×1818  2022  oil on canvas

 

 

「rainbows」  1940×1303  2022  oil on canvas

 

 

「inside」  1940×1940  2022  oil on canvas

 

 

「greenhouse」  1455×1455  2020  oil on canvas

 

 

「fountain(girl)」  910×727  2019  oil on canvas

 

 

 

安藤瑚夏 Ando Konatsu

 

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2002年 宮崎県生まれ

2021年 女子美術大学 芸術学部美術学科 洋画専攻 入学

2022年 「滔々」ギャラリー国立 東京

「プリズム」anko Solo Exhibition スペースくらげ神奈川

2023年 「1/fゆらぎ」スペースくらげ神奈川

 

今まで、自分の気になるモチーフから発想を展開させて制作してきました。ですが、この頃意識的に自分と向き合う時間を増やすことで、今までの私の作品に一貫するテーマが分かりつつあります。それは、装置という言葉が関連してきます。

物理的に存在するありとあらゆるものは、化学的装置によって解明されてきました。ですが、心ははっきりと物理的に存在すると言いきれない、人間にとって大切な器官であり、人間の心こそ最も触れていかなければならないものだと思っています。そこで、私の制作した装置的作品が、望遠鏡や虫眼鏡のように、遠すぎて、もしくは近すぎて気づけなかった、ありとあらゆるものが一気に身近に感じる役目を果たし、人間が普段感じることのできない感情を通して、心という器官の働きを飛躍的に拡張させる装置的な作品を目指しています。

ゆくゆくは、装置的作品により、人間の持つ力の限界を超えて、聞こえてくる音や、触り心地、どんな味か、匂いかを連想させることができて、見えることや感じることを増やせるようになりたいと考えています。

 

「天使が見せた夢」  ミクストメディア   2023年

 

「Condensed Cube」  素材:スタイロフォーム、レジン、アクリル板  2022年

 

「earth capsule」 1455×1120(F80)  oil on canvas  2021年

 

「capsule」 180×140(F0)  oil on canvas  2021年

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