• HOME
  • ブログ
  • 第2回ゴールデン学生サポーター成果報告インタビュー

2025.01.18

アーティスト紹介

第2回ゴールデン学生サポーター成果報告インタビュー

第二回ゴールデン学生サポーターに選出されたお二人には、サポーターの任期である一年間を通して、ゴールデン製品をもとに材料研究をしていただきました。新たな色材との出会いが、お二人の表現をどのように変えていったのか。レポートを拝読する前に、まずはお二人に直接お話を伺いました(インタビュー:2024年11月末実施/お二人のレポートは後日掲載予定)。

 

Q.ゴールデンサポーターに選出されて、任期の一年が経過しましたが、何か良い絵具やメディウムは見つかりましたか?

 

安藤さん:まず一番私の中でぴったり来たのはGAC400です。私はメインでインスタレーションを展開することが多いので、空間表現に使える画材をずっと探していました。

ゴールデンのSNSで麻布をGAC400で固めて折鶴を作っているのを見たり、女子美で行われたゴールデンアクリリックスの講座でアドバイスを受けてこのメディウムの存在を知りました。

もしかして毛糸をこれで固めれば、空間にもドローイングができるのではないかという可能性を感じてこのような作品を作ってみました。

この作品は、風船に1本の長い毛糸を巻いて、GAC400を塗布して固めたものです。自分の作品の中で浮遊感とかがキーワードになっているので風船を使って表現してみました。

他の接着剤でやるよりもダマが出にくくて透明度も高く、毛糸の1本1本を頑丈に硬化させてくれます。近くで見ると和紙みたいな質感ができてそれがすごく面白くて。空間に毛糸の線を使ってドローイングをするというこの作品ができました。

1個作るのに十時間くらいかかるのであまり数はできてはいないのですけど・・・。丁寧にやらないと糸と糸との隙間ができてしまい型が崩れたりしてしまうので。

屋外に設置するとどのような見え方になるのか気になり沢山制作しています。

 

浜田さん:やはり最初から使いたいと思っていたOPENが自分には合っているなと思いました。OPENと一緒に、元々持っていたアクリル絵具も併用したりしたのですけれど、艶の出方とか粘度、乾く速度が全然違うなと思って、本当に油を描くときと同じ気持ちでアクリル絵具を使えるのが画期的だと思いました。

メディウムも使ってみたのですけれど、クリアグラニュラージェルやガラスビーズジェルなども、キラキラしたものを描きたいと常に思っていたので、キラキラした透明なものが描いているものを閉じ込めるような使い方ができて、光の反射がすごくきれいで楽しみながら使いました。立体作品にも使えそうだなと思います。また使いたいメディウムです。

Q.新しい色材やメディウムに挑戦いただきましたが、何か得られたことや、作品に影響したことはありましたか?

 

安藤さん:GAC400は、もともとキャンバスの目止めなどに使うメディウムなので布にも使ってみましたが、薄い布もしっかり塗布すれば風船のように型を取ることができたので、色々な可能性があるメディウムであると感じました。

インタフェレンスカラーや、マイカフレークやアイアン系の絵具、パミスメディウムなどを使って最初の頃は平面で制作していたのですけれど、どうしても空間で作品を展開したいという思いが強くて、でも平面と空間がつながらなくて・・・。面白い画材と思いつつも、それを上手く空間に展開できない時期が続いていたのですが、ようやく空間にも展開できるGAC400を見つけることができました。このようなメディウムが他にもあると思うので、これからも素材を模索し続けようと思いました。

平面にドローイングしなければならないと今まで無意識に思い込んでいたのですけれど、ゴールデンのサポーターになって、ゴールデンの色々な新しい素材に触れることで、空間に展開する抵抗がなくなりました。やりたかったことへの表現の幅が広がったことは、とても貴重な体験となりました。

浜田さん:油絵をずっとやっていたので、使う色が限られるというか、色はもっと沢山あるはずなのに、自分の中の緑はこれで赤はこれというように、自分の脳内パレットみたいなものができてしまう。それは良いことでもあるのでしょうけれど、それに縛られてしまっていることで自分の色に飽きたというか、幅が狭くなっていて、それが気になっていました。

オープンアクリル絵具を使ってみたら、油絵具で色を増やしたりするのとは違って、土台から一新されるというか、OPENの中で自分が使う色を探さないといけないという作業が、頭の中を組み替えるみたいで面白くて、慣れていない不便さは感じたのですけれど、油絵バージョンの自分の色のレパートリーに加えて、OPENだったらこの色を自分は使う、みたいのができたから2倍幅が増えたと感じていています。また、アクリル絵具は油絵具より彩度が高いので作品が鮮やかになりました。以前は花など鮮やかな作品が描きたかった気持ちはありつつも、緑で植物ばかり描いていたのですが、アクリル絵具がきっかけで鮮やかな作品が描きやすく、絵具を変えることで作品の色数や鮮やかさを引き出しやすくなりました。

Q.これからお二人はどのような活動をされるご予定ですか?

 

安藤さん:できれば大学院に進学したいと思っています。私は、遠いものが近くに感じられたり、近いものをより近くに感じられる望遠鏡や虫眼鏡の現象が気になるのです。監視カメラやライブカメラに興味があり、潜在的に見たいな、覗きたいなという気持ちは誰でもあると思うのですが、その欲望がエスカレートするとプライバシーや倫理的な問題が生まれてしまいます。好奇心とそこから生まれた制約、この二面性を自分の中でどのようにとらえていくか、自分の中でまだ決まっていないので、そこについて考えていくことを大学院で研究したいです。

また、風船とか浮遊感があるものって、空に飛んでいるときと地面にある時との距離感が全く違う、その距離と時間軸。星も過去の光が見えているわけじゃないですか。実像を見ているようで実は虚像だったりとか、過去の自分はコントロールできないとか、そういう時間軸と距離に着目しながら、望遠の在り方や、望遠でやり取りできるコミュニケーションのあり方とか、そういうことを考えながらアーティスト活動をやっていきたいなと思っています。

また、望遠鏡もそれなりに歴史があって、カメラや光学レンズの歴史から学んでいく必要があるなと思っていて、その歴史を踏まえた上で新しいものを提示していかなければ二番煎じのようになってしまう気がして、歴史や時代について勉強していく時期もこれから必要だなって思っています。

 

浜田さん:大学院を卒業しても制作は続けたいと思っています。大学院に入ってから特に思うようになったのは、学部生の時はアーティスト的な活動というか、現代美術をやらなきゃと思ってインスタレーションとかもやってきたのですが、色々失敗したりして、自分はやっぱりペインティングが好きなのだなあと思って。今は絵を描きたいという大きい気持ちがあります。

あと、大学院を卒業したら学校の先生をやりたいなと思って今勉強をしています。年を重ねるうちに自分がどういう風な生活をしたいかとか、何でお金を得たいとかを考えたら、作品を売ってお金を得るというよりも、生徒や自分以外の人のために時間を使う方が合っていると思うようになりました。あと、大人と話すより子供と話したいなというような、色々な思いが重なって先生をやってみたいなと思っています。合うかどうかはやってみないとわからないのですが、1年間くらいは就活をしないで先生になるための勉強や、ゆったり制作しつつ色々なことをしたいと考えています。

あと、まだOPENの絵具を使い足りないという気持ちがあって、最近グレージングリキットを使い始めてからようやく油絵具と同じように使えるようになってきたので。アクリル絵具を希釈するのがこれまで水であったので、油絵具と比べると薄くなりすぎるイメージがあって使いづらかったのですが、グレージングリキットを使い始めてから、これ乾性油と同じくらいの粘度じゃん!と思い始めて、それから使いこなせるようになってきました。

アクリル絵具だったら家でも使いやすいし、学校とかの広いスペースが使えなくても気軽にできるので、これからも制作できる安心材料みたいな感じになってくれたので、気軽に制作できるOPENもこれから使っていきたいと思います。

学部の頃は、閉じこもりたい、守られたいという思いが強かったのですが、最近は自分も年を重ねて、周りの環境も変わったり家族も年を取って成長していく中で、もう少し周りのことに目を向けたいという気持ちになってきました。これまでの作品のテーマであった温室を描くというよりは、温室の中に入って、温室の中身をよく見たいという感じです。身近な人とか、家族とか、友達との時間とか、そういうことが今の自分には大事。だから実家に帰る頻度が上がっていて、家族や友達とかにいっぱい会いたいと思ったり、そうした心境の変化はあります。先生になったとしても発表とかはしていきたいのですが、人に認められなきゃいけないとか、生活のためにならなきゃとかそういうことを意識しながら描くことが苦手なので、あまり囚われすぎずにただ単純に描くのをもう少し楽しみたいです。

ブログランキングに参加しました。
以下のバナーをクリックで応援よろしくお願い致します。

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村